岡田温司『キリストの身体-血と肉と愛の傷』(東京:中央公論新社、2009)
「身体の歴史」の授業で、キリストの身体に触れて説明する箇所があったので、以前から読みたいと思っていた著者の書物を読んだ。非常に優れた模範的な新書で、博識と深い洞察と入門者向けのわかりやすさというのがうまく融合されている。著者の経歴などを見ると私よりも10歳ほど年上で、私もあと10年したら、このような新書を書きたいと思う。
「身体の歴史」の授業で、キリストの身体に触れて説明する箇所があったので、以前から読みたいと思っていた著者の書物を読んだ。非常に優れた模範的な新書で、博識と深い洞察と入門者向けのわかりやすさというのがうまく融合されている。著者の経歴などを見ると私よりも10歳ほど年上で、私もあと10年したら、このような新書を書きたいと思う。
5章から構成される書物で、それぞれの章は独立した一つの文章として読めるようになっている。どの章も興味深い内容で、3章「肖像と形見」では、キリストの姿がまるで写真のように転写されたハンカチや聖骸布を取り上げ、4章ではキリストが「自己成型」のモデルとされたイミタティオ・クリスティの理念のこと、5章ではキリストの傷と心臓、そしてその心臓を「読む」という主題が分析されている。授業に必要だったのはキリストの血と肉を身体の中に取り入れる、キリスト教の儀式の中枢について論じた2章だった。これがカニバリズムの側面を持っていること、フレイザーによる解釈、中世の神学者たちによるパンとワインはキリストの血となり肉となるのかという箇所を説明した部分であった。この箇所は、もっと前に読んでおくべきだった。