松原久人「精神薄弱と断種法」『精神衛生』14(1942), 18-21.
著者については私は調べていないが、厚生省の優生課の前課長である。いかにも官僚らしい口ぶりで、「来年の予算に少し予算をつけて、どれくらいの優生手術が必要なのか調査しよう」と考えていることである。小学校の児童が用いられる予定だったらしい。(ちなみに、三宅島においては、島崎敏樹が小学校の先生と協力しながら精神薄弱を選別して数を数えていた。)断種を必要な人物が何人いるのかということは、欧米における調査を日本の人口にあてはめて計算されているだけで、実際の調査をしていなかった。この段階では、国民の2%―4%が精神薄弱だとすると、140万から280万人くらい存在することになるから、少なくとも100万人くらいの断種ということになる。私たちは、この100万人の断種という数字を憶えておくべきである。これが国民優生法の直後に官僚が構想していた事業のオーダーであった。もちろん現実は、それとはまったく違った形をとり、強制断種でいうと最終的には2万人足らずという数字になる。ううむ。
著者については私は調べていないが、厚生省の優生課の前課長である。いかにも官僚らしい口ぶりで、「来年の予算に少し予算をつけて、どれくらいの優生手術が必要なのか調査しよう」と考えていることである。小学校の児童が用いられる予定だったらしい。(ちなみに、三宅島においては、島崎敏樹が小学校の先生と協力しながら精神薄弱を選別して数を数えていた。)断種を必要な人物が何人いるのかということは、欧米における調査を日本の人口にあてはめて計算されているだけで、実際の調査をしていなかった。この段階では、国民の2%―4%が精神薄弱だとすると、140万から280万人くらい存在することになるから、少なくとも100万人くらいの断種ということになる。私たちは、この100万人の断種という数字を憶えておくべきである。これが国民優生法の直後に官僚が構想していた事業のオーダーであった。もちろん現実は、それとはまったく違った形をとり、強制断種でいうと最終的には2万人足らずという数字になる。ううむ。