近藤麻理恵『人生がときめく片づけの魔法』(東京:サンマーク出版、2011)
アマゾンか何かで推薦された。失礼な言い方をすると、もともとあまり期待していなくて、「広告に引っ掛かってしまったなあ」くらいで終わる本だと思っていた。私自身は、物の片付けで困ったことはなく、書物の片づけも上手なほうだと自負しているから、この書物に書いてあるプラクティカルな内容の多くは、それほど目からうろこが落ちるようなものではなかった。
アマゾンか何かで推薦された。失礼な言い方をすると、もともとあまり期待していなくて、「広告に引っ掛かってしまったなあ」くらいで終わる本だと思っていた。私自身は、物の片付けで困ったことはなく、書物の片づけも上手なほうだと自負しているから、この書物に書いてあるプラクティカルな内容の多くは、それほど目からうろこが落ちるようなものではなかった。
ところが、それとは別な意味で、この本は、意外な発見がある良い書物だった。この書物で語られているのは、片づけする「私」の発見である。片付けとは「自分のあり方」を確認することであり、片付けられるべきもの・残されるべきものとの間には、それが心に触れるかどうか(「ときめきを感じるかどうか」)という基準で選ばれる。その意味で、ビジネス書において進行している回心譚とファンタジー的なヴィジョン化と同じリズムが流れている。これは「ビジネス書」というよりも、家事関係の「実用書」という分類になるのだろうけれども、現在の回心譚でありファンタジー小説としての性格が全面に出ている。