『ナショナル・ジオグラフィック』に、レオナルドの真筆ではないかという説が提出された作品についての記事が出ていたので、喜んで読んだ。オックスフォードの美術史家で、レオナルドの研究者であるマーティン・ケンプに持ち込まれた小さな肖像画の作品である。ケンプは、この作品を調査した結果、レオナルドの真筆であるという判断を下した。ミラノのスフォルツァ家が、お姫様のビアンカ・スフォルツァの婚礼を記念して豪華な手稿本を編み、その手稿が現在はポーランドの国立博物館に所蔵されている。しかし、その手稿本には空白のページがあり、そこに今回発見された肖像画を入れると、ぴたりとおさまるという。この事実が主たる証拠であるという。あと、この絵画は、左利きの人間に描かれているという。言われてみれば当たり前だけど、そんなことまでわかるのか!という驚きがあった。
確かにすぐれた作品で、レオナルドでもいい。でも、正直なことを言っていいですか。ポーランドの手稿本が一ページ切り取られているあたり、あまりにも話がうまくできすぎている。まるでミステリーで人を欺くために仕掛けられたトリックのような印象すらある。ケンプ先生と現代人が「はめられた」という匂いがしませんか?