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Channel: 身体・病気・医療の社会史の研究者による研究日誌
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戦後の日本精神医学が戦前精神医学とどう対峙したか

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FB更新。 戦後日本精神医学は、戦前に自らが行ってきたことと対峙しなければなりませんでした。そのときに、全体主義社会の心理の発生を、新フロイト主義と左派思想の組み合わせで説明した著作であるフランツ・アレクサンダーの著作を、井村恒郎がすぐに翻訳して1950年に出版したのは、日本の精神医学の一部の人々の気概と方向性を物語っていると思います。 

谷崎潤一郎『瘋癲老人日記』

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大阪の道修町に出張。新幹線での行帰りの車中で『春琴抄』と『瘋癲老人日記』を読みました。後者について簡単なメモを英語でFBに。好きな文学作品は、なるべく映画や漫画で見ないようにしているのですが、若尾文子の映画化には少し惹かれます(笑)

谷崎潤一郎『悪魔』『続悪魔』(1912-13)

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FB更新。 谷崎潤一郎の初期の短編『悪魔』『続悪魔』です。大仰なタイトルですが、話題はファム・ファタールと神経衰弱で、神経衰弱が東京の当時の現代生活の中で強烈に描かれています。その病者には谷崎自身の経験も反映されているとのこと。 強迫観念、学生生活、勉強する気が出ないこと、失敗・病気・死・発狂の恐怖、性と欲望と不健康な興奮など、精神医学の世界に見られる多くの神経衰弱の要素が詰め込まれて描かれています。 面白いことに、地震がいつ来るのか不安で、専門家を訪ねて聞きに行きたく思うというのも一つの症状のように描かれています。何かのヒントにはなるかもしれません。

お別れを申し上げます

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2005年の4月26日に最初の記事を書いてから、2013年の3月末まで、ほぼ8年間にわたる研究日誌でした。書物や論文を読むこと、それをまとめること、ブログの読者の皆さまに読んでいただくこと、どれも、私にとって大切な成長の機会でした。 

記事の内容と方向性の再検討、英語入力との相性、色々なことを考えて、この Yahoo!ブログに入力するのは、今日が最後になります。 愛読してくださった皆さま、本当にありがとうございました。 お別れを申し上げます。 

このブログの過去記事を引き継いで、新しく医学史研究の記事を投稿していただけることになりました。以下のブログになります。新しいブログをよろしくお願いいたします。

http://akihitosuzuki.blog.fc2.com/

後継サイトの変更

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後継サイトを「はてなダイアリー」に変更しました。12月13日以降の変更はこちらにアップされます。なお、はてなダイアリーに、YahooブログとFC2の記事もアップしました。よろしくお願いします。

http://akihitosuzuki.hatenadiary.jp/

小泉和子『家で病気を治した時代

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小泉和子『家で病気を治した時代』に英語でコメントです。とてもいい本でした。

結核が家で「治されていた」ことが詳細に触れられていますが、同じ時期にはもちろん精神病も家で治されていました。そのイメージを造るためにも、私がもっとすぐに読んでおかなければならない本でした。

茨城県浮島地方における精神疾患一斉調査(1959)

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FB更新。1959年出版の東邦大学精神科による精神医学一斉調査。秩父地方で血族婚と精神分裂病の集積について重要なデータを得たチームでしたが、次の調査地として選定した茨城県浮島は、調査の期待を裏切られました。彼らが期待していたのは、孤立した集落で血族婚の割合が高い集団でしたが、浮島は、道路の開通、水上交通の発展などで、かつでの孤立性をすっかり失った地域になっていました。この社会的な変化、即ち人口移動と婚姻パターンこそが、当時の優生学と精神医学の大きな背景でした。

16世紀ロンドンのペストと富裕層向けの演劇

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Smith, Milissa, “Personification of Plague in Three Tudor Interlude: Triall of Treasure, The Longer Thou Liueth, the More Foole Thou Art, and Inough Is As Good As a Feast”, Literature and Medicine, vol.26, no.2, 2007: 364-386.

後期中世から近世にかけて流行したペストは、もともと文学作品にあまり現れるものではないが(面白いポイント!)、1563年のロンドンのペストは、その数年後に書かれた interlude に盛んに取り上げられる。議論の核となるポイントは、interludeの社会階層の問題であって、このジャンルの演劇は、富裕層たちが私邸の宴会などで行うものであり、富裕層が持とうとしてペストに対する「ファンタジー」であると読めるということである。1563年のペストは、ロンドンの人口の1/4にあたる17,000人を斃したが、それが重要であるのは、いつもの流行と違って、ロンドンの中心部という社会階層が高い人々が住む地域で流行が激しく、いつもは多くの被害者が出る低階層者が住む周辺部の被害は小さかったことである。この状況に対して、interlude の上演を観るような富裕層は、ペストは悪しきものを処罰する存在であるというファンタジーを表明した。ことに、interlude においては、劇を上演する俳優(といえるのだろうか)は、観客たちの中をかきわけるようにして舞台に現れたので、大流行のあとで、死と処罰の擬人化が自分の傍らを通る経験は、このファンタジーの形成と深い関係があった。

大正期感化院収容児童の精神医学的調査

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FB更新。大正末の感化院収容児童の精神医学的調査。著者は後に名大教授となった杉田直樹。ヘッケルの進化論を用いて感化院の児童青年は、社会への深化の途上で制止させられた原始的な精神状態であると議論します。

台湾高砂族の精神病調査(昭和17年)

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FB更新. アイヌにはじまり、八丈島、三宅島、五家荘、東京池袋、小諸などのさまざまな地域で実施された精神病一斉調査。戦前で最も野心的なものは、1942年に台湾の高砂族を約4,000人にわたって調査したもの。

最大のポイントは、高砂族(特に対象となったブヌン族)の精神疾患、特に分裂病が著しく少ないことである。精神病一斉調査においては、総じて、未開民族がもっとも罹患率が低く、次いでヨーロッパ人、一番高いのが日本人の順という結果が明らかにされていた。日本の精神病医たちは、その科学的な調査によって、日本人は他民族よりも精神病学的に劣性であるという結果を次々に明らかにしていたことになる。しかも、西欧よりも優れた大東亜の盟主であり、大和民俗の優秀性が絶叫されている時代に。

戦後の日本精神医学が戦前精神医学とどう対峙したか

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FB更新。 戦後日本精神医学は、戦前に自らが行ってきたことと対峙しなければなりませんでした。そのときに、全体主義社会の心理の発生を、新フロイト主義と左派思想の組み合わせで説明した著作であるフランツ・アレクサンダーの著作を、井村恒郎がすぐに翻訳して1950年に出版したのは、日本の精神医学の一部の人々の気概と方向性を物語っていると思います。 

谷崎潤一郎『瘋癲老人日記』

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大阪の道修町に出張。新幹線での行帰りの車中で『春琴抄』と『瘋癲老人日記』を読みました。後者について簡単なメモを英語でFBに。好きな文学作品は、なるべく映画や漫画で見ないようにしているのですが、若尾文子の映画化には少し惹かれます(笑)

谷崎潤一郎『悪魔』『続悪魔』(1912-13)

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FB更新。 谷崎潤一郎の初期の短編『悪魔』『続悪魔』です。大仰なタイトルですが、話題はファム・ファタールと神経衰弱で、神経衰弱が東京の当時の現代生活の中で強烈に描かれています。その病者には谷崎自身の経験も反映されているとのこと。 強迫観念、学生生活、勉強する気が出ないこと、失敗・病気・死・発狂の恐怖、性と欲望と不健康な興奮など、精神医学の世界に見られる多くの神経衰弱の要素が詰め込まれて描かれています。 面白いことに、地震がいつ来るのか不安で、専門家を訪ねて聞きに行きたく思うというのも一つの症状のように描かれています。何かのヒントにはなるかもしれません。

お別れを申し上げます

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2005年の4月26日に最初の記事を書いてから、2013年の3月末まで、ほぼ8年間にわたる研究日誌でした。書物や論文を読むこと、それをまとめること、ブログの読者の皆さまに読んでいただくこと、どれも、私にとって大切な成長の機会でした。 

記事の内容と方向性の再検討、英語入力との相性、色々なことを考えて、この Yahoo!ブログに入力するのは、今日が最後になります。 愛読してくださった皆さま、本当にありがとうございました。 お別れを申し上げます。 

このブログの過去記事を引き継いで、新しく医学史研究の記事を投稿していただけることになりました。以下のブログになります。新しいブログをよろしくお願いいたします。

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後継サイトの変更

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後継サイトを「はてなダイアリー」に変更しました。12月13日以降の変更はこちらにアップされます。なお、はてなダイアリーに、YahooブログとFC2の記事もアップしました。よろしくお願いします。

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