西川修・岩下良雄「種々の精神病に対する電撃療法の試み」『実地医家と臨床』vol.17, no.5 (1940), 57-64.
昨日に続いて九大精神科に関連する論文である。下田の時代の九大精神科の先進性を示すものは、『ドグラ・マグラ』のモデルになったということだけではない。重要な業績の一つに電気痙攣療法を、九大の安河内五郎と向笠広次がイタリアのチェルレッティとほぼ同時に発見し、その論文を1939年に出版したという史実がある。これについては、独立・同時ではなく、九大チームが第一発見者としての栄誉が与えられるべきであるという議論もある。詳細なリサーチはまだされていないと思う。
昨日に続いて九大精神科に関連する論文である。下田の時代の九大精神科の先進性を示すものは、『ドグラ・マグラ』のモデルになったということだけではない。重要な業績の一つに電気痙攣療法を、九大の安河内五郎と向笠広次がイタリアのチェルレッティとほぼ同時に発見し、その論文を1939年に出版したという史実がある。これについては、独立・同時ではなく、九大チームが第一発見者としての栄誉が与えられるべきであるという議論もある。詳細なリサーチはまだされていないと思う。
この西川・岩下の論文は、前年に発表された安河内・向笠を補ったものである。後者はまず精神分裂病に対するECTの奏功を研究したのに対し、西川・岩下は、躁鬱、麻痺性痴呆、ヒステリー、麻薬中毒者の不眠、老人性痴呆、そしてその他の精神病の29人である。これらの疾患に対しても、他の治療法と組み合わせることで、ECTは総じて効果を上げるというのが導きだされている結論である。麻痺性痴呆は、マラリア療法を行ったあとに躁状態が持続するが、それを速やかに鎮静するためにこれまではカルチアゾルが用いられてきたが、ECTにも同様の効果がありむしろ使いやすいという。一方で、あまりに過剰に実施することは効果をさげるし、電撃を繰り返すと刺激閾値が向上し、高い電圧や長い通電時間が必要になってくる。そして、苦痛の問題であるが、安河内たちは隔離した部屋で行えば患者は殆ど苦痛を感じないので何回でも実施できると主張しているが、やはり電撃で失神させるのであるから、常識的に考えても無痛ではなく、やはり苦痛を感じて嫌悪の情が田管理、時にはそれが精神的外傷になって心因性の症状を起こすこともある。(つまり、「外傷性神経症・ECT型」の患者を作ってしまったわけだ、君たちは 笑)
西川修については、本人の文章と絵画をつらねたウェブサイトがあり、おそらくご子息が管理されているのではないかと思う。
http://members2.jcom.home.ne.jp/nishikawaw/kitbmokuji.html
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