ヤコブス・デ・ウォラギネによる『黄金伝説』は、13世紀に成立した聖人伝説集で、中世以降のヨーロッパ文化の基本的なテキストである。平凡社ライブラリーから四巻本で翻訳が出ていて、役に立つ註も多く打ってあって、大変な労作だと思うが、翻訳の文体になんとなく違和感がある。私は、プリンストン大学出版局から出ている二巻本の英訳で、William Granger Ryan という学者が訳したものが、愛読するにふさわしい文章になっていると思う。
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