高林陽展「戦争神経症」
高林陽展「戦争神経症と戦争責任―第一次世界大戦期及び戦間期英国を事例として」『季刊戦争責任研究』70号(2010.冬),53-62. 頂いた論文を読む。...
View Articleレオナルド『岩窟の聖母』
ロンドンでレオナルドの大きな展覧会をしているから、イギリスのメディアはこの展覧会の評論で溢れている。TLSに掲載されたジュリアン・ベルの評論がよかった。...
View Article『宝島』の地図
R.L. スティーヴンソンは、彼の出世作であるTreasure Island (『宝島』)の成立について、印象的なエピソードを語っている。呼吸器の病気で苦しんでいたスティーヴンソンは、エディンバラを避けて、家族で転地療養のために ブリーマール(Braemar)に来ていた。新しい妻と、13歳の息子も一緒であり、一家は本を読んだり絵を描いたりして夏を過ごしていた。...
View Articleアリス・ジェイムズの乳がん
James, Alice, The Diary of Alice James, ed. By Leon Edel (London: Rupert Hart-Davis, 1965)....
View Article『ジョー・ブラックをよろしく』
『ジョー・ブラックをよろしく』をDVDで観る。これは1998年の映画で、公開されたころに私も観たけれども、当時は、ブラッド・ピットはまだ若手に分類できる俳優だった。「ファンタジー・ロマンス」で、メディア王のビル、その娘のスーザン、そして死神の三人が主人公。アンソニー・ホプキンズがビルを、プラッド・ピットが死神を演じている。スーザンを演じたのは、クレア・フォルラーニというイギリスの女優さんで、メリル・...
View Articleディケンズの女性
ディケンズの小説に登場する女性の登場人物は、「人間らしさ」が描かれていないことが多い。アグネス・ウィックフィールド(『デイヴィッド・コッパーフィールド』)のような血が通っていない道徳性や、ミス・ハヴィシャム(『大いなる遺産』)のような暗い復讐の怪物性の両極端のあいだを揺れ動いている。実生活においても、自分を見はなした母をうらみ、恋に破れ、成功したのちにも若い女優に恋をして糟糠の妻を追い出すというよう...
View Article『コレラの時代の愛』
台湾での二つの講演を終えた。どちらも初めて書下ろす講演で、授業の準備などと並行しながら、リサーチをして議論を二つ作り出して書き下ろすのはとても大変だったけれども、どちらも手ごたえがある議論を作り出すことができた。これで今年の仕事が終わったので、今日は、久しぶりに、仕事をしない日曜日を過ごして、小説を読んでいた。...
View Article『新版 大学生のためのレポート・論文術』
小笠原喜康『新版 大学生のためのレポート・論文術』(東京:講談社現代新書、2009) 必要があって、「論文の書き方」編の新書を読む。人気があった旧版にかなり手を入れて、新版として書き改めたとのこと。学部1・2年生から卒論くらいまで、大学で課されるレポート・論文が、それらしい形を持つようにするためのマニュアルを丁寧に説明した書物である。...
View Article統合失調症概念の歴史を調べることの意味
Hoenig, J., “The Concept of Schizophrenia Kraepelin-Bleuler-Schneider”, British Journal of Psychiatry 142(1983), 547-556....
View Article精神分裂病の歴史
Gilman, Sander L., “Constructing Schizophrenia as a Category of Mental Illness”, in Edwin R. Wallace, IV and Jon Gach, History of Psychiatry and Medical Psychology (New York: Springer, 2008), 461-483....
View Article女学校の集団ヒステリー・昭和16・17年
昭和16-17年の女学校におけるヒステリーの流行性発生 未読山から論文を読む。佐藤亨「『ヒステリー』の流行性発生について」『順天堂医事研究会雑誌』no.589(1943), 19-29. ヒステリーの流行性発生の存在は知られているが、その報告はまれである。筆者である佐藤は、東京文理科大学教育相談部部員として、都下某女学校において発生したヒステリーの流行を調査したので、それが報告される。...
View Article緒方洪庵
Najita, Tetsuo, “Ambiguous Encounters: Ogata K?an and International Studies in Late Tokugawa Osaka”, in James L MacClain and Wakita Osamu eds., Osaka: the Merchant’s Capital of Early Modern Japan...
View Article精神薄弱と優生学と総力戦動員
櫻井図南男「精神薄弱の概念に就いて(産業と精神薄弱の問題)」『福岡医学雑誌』36(1943), no.8, 808-816. のちに九州大学の教授となる櫻井図南男の論文。当時の所属は、九州帝国大学と三井産業医学研究所神経科とある。この段階では、ドイツの学者の議論のまとめが主であるが、このまま続行されていれば水準が高い研究になったであろうことを感じさせる論考である。...
View Article尾崎紅葉『青葡萄』とコレラ
尾崎紅葉『紅葉全集 第六巻 多情多恨・青葡萄』(東京:岩波書店、1993) 必要があって、尾崎紅葉の『青葡萄』を読む。明治のコレラ流行について色々なことを教えてくれる古典的な小説である。...
View Article大阪帝大とインドネシアの精神病 Amok の研究
江川昌一・杉原方・細谷純之助「いんどねしやの精神病 Amok に就いて」『大阪医事新誌』 14(1943), no.3, 250-254. 大阪帝大の精神科と内科の医学士がインドネシアの精神病について書いた論文を読む。戦前の大阪帝国大学は、長崎や台北とならんで、熱帯医学の研究拠点が形成されていたが、それと関係あるプロジェクトなのだと思う。Amok...
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