医師/政治家というキャリアについて
Digby, Anne, “Medicine, Race and the General Good: The Career of Thomas N G Te water (1857-1926), South African Doctor and Medical Politician”, Medical History, vol.51, No.1 (2007):...
View Article『茂吉の体臭』からメモ
斎藤茂太『茂吉の体臭』は、細部において味わい深いことが沢山書いてあるが、その中で、斎藤家が斎藤茂吉の症例誌をつけていたこと、その症例誌の記述が、私が読んでいる王子脳病院の記述と文体がよく似ていることをメモする。もともとは呉秀三の巣鴨―松沢病院が起源で、そこから青山脳病院、王子脳病院のように継承されたのだろうか。それとも、そもそも症例誌の文体はどこも似ているのだろうか。看護婦がつける看護日誌と医者がつ...
View Article戦時神経症の治療と電気ショック
対応に苦慮した戦時神経症の患者に対して櫻井が持っていた最終兵器とよべるものは、けいれん療法、それも電気けいれん療法であった。1930年代から、精神疾患を治療する方法として、インシュリンやカージアゾルを処方して痙攣をおこす方法が脚光を浴びていた。それと同じ原理に基づいて、電気けいれん療法は、1938年にイタリアのチェルレッティが率いるローマ大学のチームが開発し、日本ではほぼ同時期に九大の安河内・向笠が...
View Article18世紀イングランドの「薬種商」の上昇
Corfield, Penelope J., “From Poison Peddlers to Civic Worthies: The Reputation of the Apothecaries in Georgian England”, Social History of Medicine, 22, no.1, 2009:...
View Article加藤正明・ノイローゼ論(1955)の中の戦争神経症
加藤正明『ノイローゼ―神経症とはなにか』(東京:創元社、1955)今回の論文のコアは、日本軍で第二次大戦中に発生した戦時神経症について、議論を二つのクラスターにシンプルに分けて、戦前から戦中にかけて観察されたことと、戦後の新しい価値観において観察されたことのあいだの、断絶と連続を確定することである。戦前のパラダイムに基づいた疾病と治療の理解と、戦後のそれが異なっているのはそれほど驚くべきことではない...
View Article研究会:「帝国日本の知識ネットワークに関する科学史研究」
大阪で「帝国日本の知識ネットワークに関する科学史研究」の報告会が開かれます。ご参集ください!科学研究費・基盤A「帝国日本の知識ネットワークに関する科学史研究」(研究課題番号:24240108)・医学薬学班研究会日時;3月2日(土)...
View Article戦争神経症―小倉陸軍病院からの道
中村強「戦争神経症の統計的観察」『医学研究』vol.25, no.10, 1955: 1801-1813.これまで国府台の陸軍病院とその後継組織の医者による業績を読んできたが、別の病院で仕事をした医者が戦後に書いた論文を読んでみた。精神疾患の患者が運び込まれた病院は国府台の外に広島と小倉にもあり、この論文の著者の中村は 「K...
View Article西洋解剖学の中国への導入
Asen, Daniel, “’Manchu Anatomy’: Anatomical Knowledge and the Jesuits in Seventeenth- and Eighteenth-Century China”, Social History of Medicine, 22, no.1, 2009: 23-44....
View Articleオーストラリアの戦争神経症患者の処遇と家族の圧力
Larsson, Marina, “Families and Institutions for Shell-Shocked Soldiers in Australia after the First World War”, Social History of Medicine, 22, no.1, 2009:...
View Article闘病記研究会 2/23
闘病記研究会『社会学から闘病記へのアプローチ』今回は、闘病記がいつ誕生して、どう認知されてきたか闘病記の 近現代史をたどります。社会背景と患者の心理は闘病記にどう反 映されてきたのでしょうか。そして、時代が進むにつれ、患者のた めの本であった闘病記が、医療者のためにもなる可能性も見えています。 「闘病記とは何か」が徐々に明らかになるお話が盛りだくさんです。 開催概要...
View Articleフィリピンの近代化と民間習俗との闘い
Reyes, Raquel A.G., “Sex, Masturbation and Foetal Death: Filipino Physicians and Medical Mythology in the Late Nineteenth Century”, Social History of Medicine, 22, no.1, 2009:...
View Article17世紀スペイン演劇からの医学史
Slater, John and Mar?a Luz L?pez Terrada, “Scenes of Mediation: Staging Medicine in the Spanish Interludes”, Soc Hist Med (2011) 24(2):...
View Article音楽と催眠―1800年からの歴史
Kennaway, James, “Musical Hypnosis: Sound and Selfhood from Mesmerism to Brainwashing”, Soc Hist Med (2012) 25(2):...
View Articleバイオマーカーと初期診断の権力について
Singh, Illina and Nikolas Rose, “Biomarkers in Psychiatry”, Nature, vol.460, 9 July 2009.現在来日中のニコラス・ローズと同僚が執筆した、精神医学におけるバイオマーカーの利用について。ローズは現代の生命倫理と医療の社会科学の大家の一人であるし、短いけれども非常に読みごたえがある議論だった。共著者の Singh...
View Article科学史講演会 ヒロ・ヒライ先生
「科学史講演会」は、2012年から東大駒場の科学史・科学哲学科で開催されている、国際的に優れた研究者による講演のシリーズです。東大の橋本毅彦先生、ケンブリッジのクスカワ・サチコ先生などがすでに壇上に立っています。 2月8日には、オランダのヒロ・ヒライ先生のご講演が予定されています。 以下は、学振特別研究員の坂本邦暢さんからの医学史MLへの連絡の再掲になります。...
View Articleドイツの貧民向け医学的学知の位置づけ
Hammond, Mitchell Lewis, “Medical Examination and Poor Relief in Early Modern Germany”, Soc Hist Med (2011) 24(2):...
View Article坂口安吾「白痴」と、精神障害を露出した生活
坂口安吾「白痴」坂口安吾「白痴」を読んでおく。戦争末期の東京・蒲田のあたりに住む新聞記者の生活を通じて、空襲で最終的に破壊された生活の空虚さを描いた作品である。そこに描かれている精神障害者の生活ぶりが大変面白く、戦前の東京における精神障害のあり方について多くを教えてくれる作品だと思う。もちろんフィクションだから注意しなければならないけれども、精神病院の症例誌や同時期の精神病調査などと符合する点も多い...
View Article精神疾患の全成員調査―1940年・鎌倉郡
平塚俊亮・野村章恒「神奈川県某地に於ける全成員調査」『民族衛生』9巻5号、1941:436-453.神奈川県の某村というのは、鎌倉郡の村岡村である。人口は1700人ほど。この村の精神病の全数調査に基づく論文である。精神病調査についてもっと早く読んでおくべき資料だった。日本学術振興会の第26小委員会の悪疾遺伝の調査研究が費用をだし、東大の脳研究所の三宅鉱一・吉益脩夫が指導した。著者の一人の平塚俊亮は、...
View Article『アルバート氏の人生』
http://albert-movie.com/映画『アルバート氏の人生』を観る。19世紀のダブリンを舞台にして、女性でありながら15歳の時に男性に集団レイプされて以来、男性としてホテルのウェイターを続けてきたアルバート・ノッブスが中年になって人生の転機を迎え、さまざまな悲喜劇が起きるありさまを描いた作品である。グレン・クローズは、私が好きな大女優の一人で、『危険な関係』『ハムレット』以来、久しぶり...
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