南方熊楠『十二支考』
南方熊楠『十二支考』大晦日から元日にかけて、南方熊楠『十二支考』の蛇の章を読んだ。この数年、この博物誌家が魔法のような該博な知識でその年の干支を論じた文章を読むのが年末年始の恒例の行事になっている。十二支の中でも蛇という生き物は、民俗学からみて特に豊かな素材があるのだろう。他の干支よりも特に北條で縦横の文章になっているように思う。私にとっては、エデンの園での人類の誘惑があまりに大きいが、南方はそのよ...
View Article講演会:日本の児童福祉の人類学
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。 シカゴ大学で博士号を取得され、現在ハーバードで講師をしていらっしゃるキャサリン・ゴールドファーブ先生に、ご講演いただけることになりました。ゴールドファーブ先生は日本の児童福祉の現場で長期フィールドワークを行い、子供の発達や日本の家族、福祉の問題について鋭い視点で分析を行っている気鋭の若手人類学者です Kathryn...
View Article明治期日本医学の洋医師たちのコネクション
Nakamura, Ellen, “The Private Medical World of a Meiji-Era Japanese Doctor: Ishii Kend?’s Diary of 1874”, Social History of Medicine,...
View Article米軍兵士の神経症とスクリーニングの妥当性
Needles, William, “The Successful neurotic Soldier”, The Bulletin of the U.S. Army Medical Department, vol.4, no.6(1945),...
View Article『カーマ・スートラ』とモダニズム文化
McConnachie, James, The Book of Love: The Story of the Kamasutra (London: Atlantic Books,...
View Article今東光「弓削道鏡」
今東光「弓削道鏡」『今東光代表作選集 第四巻』(東京:読売新聞社、1973)今東光の短編「稚児」は、延暦寺が蔵する古文書で稚児との性愛の技法が書かれたものを読んで書かれたもので、『今東光代表作選集 第五巻』で読むことができる。その横にあった『今東光代表作選集...
View Articleピンク・フロイド Brain Damage の分析
Winthrop-Young, Geoffrey, “Implosion and Intoxication: Kittler, a German Classic, and Pink Floyd”, Theory, Culture & Society, 2006, 23:...
View Article精神病ケアとレジリエンス・リカバリー・社会正義
Howell, Alison and Jujian Voronka, “Introduction: The Politics of Resilience and Recovery in Mental Health Care”, Studies in Social Justice, vol.6, no.1 (2012): 1-7....
View Article『家畜人ヤプー』
『家畜人ヤプー』必要があって『家畜人ヤプー』を読む。1956-59年に雑誌『奇譚クラブ』に20回にわたって連載されたオリジナルは、恥ずかしいことに読んだことがなく、手元にあるのはいずれも単行本で、オリジナルに一章を足した1970年の都市出版社版、それと内容がほぼ同じスコラ版、そしてそれにさらに20章くらいを加筆して大幅に増量して完結させた幻冬社アウトロー文庫の5巻本である。コミック・劇画化やラノベ化...
View Article「コレラ雲」という現象の分析
Mukharji, Projit Bihari, “The ‘Cholera Cloud’ in the Nineteenth Century ‘British World’: History of an Object-Without-an-Essence”, Bulletin of the History of Medicine, 86(2012), number 3, 303-332....
View Article中野美代子『三蔵法師』
中野美代子『三蔵法師』(東京:中央公論社、1999)純粋に楽しみのための読書で、中野美代子『三蔵法師』を読む。西遊記の三蔵法師で有名な玄奘(602-664)のインド取経の旅を中心にした伝記である。玄奘になぜ興味を持ったかというと、しばらく前から般若心経を写経しているが、玄奘はその漢訳者であると言われていること、そして、去年の秋に法隆寺の特別展に行ったとき、法隆寺の僧たちが玄奘の『大唐西域記』に魅せら...
View Article斎藤茂太『茂吉の体臭』
斎藤茂太『茂吉の体臭』(東京:岩波書店、2000)読みたいと思って読んでこなかった著作である。歌人として著名な斎藤茂吉は、青山脳病院の院長を務めていた精神科医であり、日本の精神病院の院長の中では最も著名な人物であろう。昭和戦前期から茂吉が没するまでの昭和28年くらいまでの様子が描かれ、ドイツに留学して東京で大病院を開業していた精神科の医師とその息子の生活が描かれている。青山脳病院や帝国病院の生活につ...
View Articleザミャーチン『われら』
エヴゲーニィ・ザミャーチン『われら』川端香男里訳(東京:岩波書店、1992)必要があって、1920年代にソ連で書かれた体制批判的なSFを読む。もともとは、Cultural History of the Body...
View Article戦時神経症の治療と精神科病棟という「脅迫」
国府台陸軍病院の精神科に応召された櫻井は、戦時神経症、年金神経症の治療において有効と判定されている方法が、当時の陸軍では利用できないことを知る。一時賜金によって患者と責任関係者の間を断絶させる方法は、国民と国家の間に適用することができないのである。そのため、櫻井は陸軍における戦争神経症の治療の成功について絶望していたが、ある症例がヒントを与え、最後には陸軍における戦争神経症の治療法を教えてくれること...
View Article日本の児童福祉の状況について
Kathryn Goldfarb, “Developing a Modern Body Politic: Japanese Child Welfare, Advocacy, and the Politics of the...
View Article軍陣医学博物館
『彰古館―知られざる軍陣医学の軌跡』(東京:防衛ホーム新聞社、2009)東京世田谷の陸上自衛隊三宿駐屯地に陸上自衛隊衛生学校があり、その校内に「彰古館」が開設されている。明治初年から現在にいたる、陸軍の軍陣医学関係の資料が収集され、展示されている。軍関係の資料の多くは戦災にあい、また終戦時に焼却されたり散逸したりしたが、彰古館にはそれらから免れた資料や、戦後に大東亜戦争衛生史編纂の参考資料として集め...
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