ユイスマンス『スヒーダムの聖女リドヴィナ』
J.K. ユイスマンス『腐爛の華―スヒーダムの聖女リドヴィナ』田辺貞之助訳(東京:国書刊行会、1984) 恥ずかしながらこの作品を知らなかった。中世の身体の歴史に学生が触れることができるすばらしい素材の一つであることは間違いない。リドヴィナについては、トマス・ア・ケンピスなどの著名な人物による聖人伝もあって、こちらのほうが歴史的には正確らしいけれども、日本語への翻訳を見つけられなかった。...
View Articleスヒーダムの聖女リドヴィナ
Bynum, Caroline Walker, Holy Feast and Holy Fast: The Religious Significance of Food to Medieval Women (Berkeley: University of California Press, 1987)...
View Article『最高の人生をあなたと』
イザベラ・ロッセリーニは、『ブルー・ベルベット』と化粧品のランコムのコマーシャルで、私が20代だったときの憧れの女優だった。彼女が40歳になったときにランコムから契約を打ち切られたことが話題になったときに、ランコムの仕打ちに怒るというよりも、彼女が「40歳を過ぎた女性が美を定義してはいけないのかしら?」と問うたのが鮮明に印象に残った。彼女は、あのランコムの仕事は、美を定義することだと思っていたのか、...
View Article敬虔な優生学者 アレクシス・カレル
Reggiani, Andr?s Horacio, God’s Eugenicist: Alexis Carrel and the Sociobiology of Decline, with a foreword by Herman Lebovics (New York: Berghahn Books, 2007)....
View Articleギリシアにおける身体の発見
Holmes, Brooke, The Symptom and the Subject: The Emergence of the Physical Body in Ancient Greece (Princeton: Princeton University Press, 2010)...
View Articleチャールズ・C・マン『1491 – 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見』
チャールズ・C・マン『1491 – 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見』布施由紀子訳(東京:NHK出版、2007) アメリカの優れたサイエンス・ライターの一人で、アスピリンの誕生から100年をまとめた『アスピリン企業戦争』という優れた著作もあるチャールズ・マンの傑作が翻訳されていて、喜んで読んだ。この書物の評判が高かったため、続編として1493という書物も書いている。...
View Articleロンドンの公衆衛生資料の決定版のデジタル化
ウェルカム・ライブラリーが、ロンドンとその近郊の保健医官 (Medical Officer of Health) の報告書をデジタル化する計画を発表した。これは、1848年から1972年までの、約7,000点の報告書をデジタル化し、約40万ページのテキストをOCRしてダウンロード・検索できるようにするものだという。この手の報告書には必須の統計表も使えるようにするとのこと。以下のサイトをご覧ください。...
View Articleポール・ヴァレリー「身体に関する素朴な考察」
ポール・ヴァレリー「身体に関する素朴な考察」『ヴァレリー・セレクション』上・下巻、東宏治・松田浩則訳(東京:平凡社、2005 )、下巻237-253ページ。...
View Articleキリスト教社会の形成と身体
必要があって、『私生活の歴史―古代からビザンティンまで』の中のピーター・ブラウンによる章を読む。文献は、Brown, Peter, “Late Antiquity”, in Paul Veyne ed., A History of Private Life I: From Pagan Rome to Byzantium, translated by Arthur Goldhammer (The...
View Article原武史『可視化された帝国』
原武史『可視化された帝国』(東京:みすず書房、2001) 精神医療の研究のヒントを求めて、近代の天皇の行幸を素材にして「視覚的な権力」を論じた書物を読む。素晴らしいヒントをもらった。...
View Article1949年の学生性行動調査
朝山新一『現代学生の性行動』(京都:臼井書房、1949) 朝山新一は大阪市立大学の教員で、関西地方の大学予科、高等学校、専門学校などを中心にして男子約700名、女子約300名を選んで詳細な性行動調査を行い、1949年に出版した。この調査には、京都大学の動物行動学のスタッフと協力したとあり、協力者には、今西錦司、梅棹忠雄などの有名人の名前も見える。...
View Article昆虫の性の魅惑
北野博美「性欲衝動の精神生活に及ぼす影響」『変態心理』2巻8号(1918), 522-531. 下等生物における心理や運動は、20世紀の前半には精神病を理解する重要な鍵となった。この論文は、昆虫や魚類や鳥類、そして「野蛮人」から話を始めて、その性が精神にどのような影響を与えるかを論じている。ファーブルなどから引いた蝶についての記述が、あまりにも美しく説得力があるので、メモする。...
View Article大正の少年受刑者の夢
苅谷哲公「少年受刑者は如何なる夢を結ぶ乎」『変態心理』2巻7号(1918), 455-461. 著者は福岡監獄の教授主任とある。18歳未満の少年105名の夢を調査し、287件の夢を得た結果の分析である。多い夢をメモするだけにする。 放免されて家郷にいる―20 帰宅して親に叱られる―17 餅菓子をたくさん食う―6 活勉写真[ママ]を見る―7 蛇に追われる―5 火事にあう―6...
View Article北米の優生学
Dowbiggin, Ian Robert, Keeping America Sane: Psychiatry and Eugenics in the United States and Canada 1880-1940 (Ithaca: Cornell University Press, 1997)....
View Article