Quantcast
Channel: 身体・病気・医療の社会史の研究者による研究日誌
Browsing all 455 articles
Browse latest View live

デュボス『パストゥール』

ルネ・デュボス『パストゥール―世紀を超えた生命科学への洞察』トーマス・D・ブロック編集、長木大三・岸田綱太郎・田口文章訳(東京:学会出版センター、1996)...

View Article


「座談会 被占領心理」(1950年)

丸山真男・竹内好・前田陽一・島崎敏樹・篠原正瑛「座談会 被占領心理」『展望』1950 年8月号、48-63....

View Article


中村禎里『日本近世の生命観(1) 身体と生命』

中村禎里『日本近世の生命観(1)...

View Article

念仏と狂気と往生

木曜日から土曜日まで続いた国際学会が終わった。日曜の午後は安楽椅子に座って、須永朝彦『江戸奇談怪談集』(ちくま文庫)をのんびりとめくってはうつらうつらする贅沢な時間を過ごした。その中で神谷養勇軒『新著聞集』の第十三「往生編」の「網曳利兵衛水に立終る」という小さな話をメモする。阿波国・中郡の黒土村に手繰り網曳をなりわいとする利兵衛なる人物がいた。平生は狂人の様子で、単身無二の念仏者で、網を曳くにも口を...

View Article

横溝正史「面影草紙」と人体模型

金田一耕介で有名な横溝正史が書いた作品には、医学、病気、遺伝の主題と深い関連を持つものが多い。凶悪な犯罪者の遺伝についての優生学的な発想も重要であるし、死体、病気、損壊された人体、障害を受けた人体についてのグロテスクな記述も当時流通していたイメージやその構成を示唆してくれる。医学史の研究者は、『獄門島』では精神病者の私宅監置が重要な背景であること、『仮面舞踏会』では色盲の遺伝と退化論が謎解きと鍵であ...

View Article


Image may be NSFW.
Clik here to view.

横溝正史「蔵の中」と結核患者

昨日は「面影草紙」の人間模型をメモしたが、もともとはこの文庫本『蔵の中』に収録された表題作の短編を読もうとして買った。「蔵の中」は1935年に雑誌『新青年』に発表された中編で、耳が不自由な美しい姉と美少年の弟の近親相姦的な思いを背景にした物語である。私が高校生の頃、角川から映画化されて、姉を演じたのが「ニューハーフ」であったことが話題になった。横溝自身が結核の治療のために信州で療養していたこともあっ...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

横溝正史「真珠郎」と精神病質者の製作

『真珠郎』は横溝正史の初期の作品。1936-37年の雑誌『新青年』に連載された。美少年で残虐で道徳心のかけらも持たない精神病質的な殺人者「真珠郎」が、医者によって遺伝と環境の双方を通じて製作されることが重要な設定になっている。「真珠郎」は無慈悲に人を殺す陰険な殺人者で、「人間ペスト」「人間バチルス」と呼ばれているから、精神科医がマッド・サイエンティストとなり、人間を製作・調教して残虐な精神病質者を作...

View Article

兵頭晶子「『双葉病院事件』をめぐって」

兵頭晶子「『双葉病院事件』をめぐって」『情況』2011年、6・7月合併号、152-156.著者から論文をいただいた。福島第一原発の事故にまつわる精神科病院における患者の死亡問題に触れた短い記事である。福島第一原発と同じ大熊町に位置する精神科病院である双葉病院は、地震と原発での事故にともなって患者を移動させた。3月12日には大熊町役場から派遣されたバスで209人の患者を避難させ別の病院に無事転院させた...

View Article


横溝正史「生ける死仮面」「蝋美人」

横溝正史「生ける死仮面」「蝋美人」横溝正史『首』(角川文庫)に収録されている二つの短編の医学的な背景についてメモ。「生ける死仮面」は同性愛と男娼をめぐる短編。東京杉並に住む彫刻家が、上野の男娼であると思われた17,8才の美少年をアトリエに運び込む。少年はヒロポン中毒と肺の病気のためにすぐに死ぬが、死後もその死体を愛して、腐乱しかけた死体と寝ているのが発見されて事件が始まる。この少年を愛した女性が、お...

View Article


ギリシア医学と宗教的治療

東雅夫『世界幻想文学大全 怪奇小説精華』を読んでいたら、たまたま、その冒頭に置かれた作品が医学史の視点から見た時にとても重要だったのでメモをした。ルキアノスの「嘘好き、または懐疑者」という作品で、もともとはルキアノス『本当の話』の中に収録されている短い物語である。ルキアノスは2世紀の作家で、小説や風刺などに特徴があるとのこと。...

View Article

兵頭晶子「民間治療場の日本近代」

兵頭晶子「民間治療場の日本近代―『治療の場所』の歴史から」『臨床心理学研究』50(2012), no.1,...

View Article

通経薬と催淫・生殖

Evans, Jennifer, “’Gentle Purges corrected with hot Spices, whether they work or not, do vehemently provoke Venery’: Menstrural Provocation and Procreation in Early Modern England”, Social History of...

View Article

長期持続の受療の歴史―近世イングランドの薬の輸入

Wallis, Patrick, “Exotic Drugs and English Medicine: England’s Drug Trade, c.1550-c.1800”, Social History of Medicine, vol.25, no.1, 2012:...

View Article


「見世物」と19世紀両性具有研究のパラダイム

Mak, Geertje, “Hermaphrodites on Show. The Case of Katharina / Karl Hohmann and its Use in Nineteenth-century Medical Science”, Social History of Medicine, vol.25, no.1, 2012: 65-83.今年の5月に Doubting Sex...

View Article

熱帯生存圏の論文集から

杉原薫「熱帯生存圏の歴史的射程」杉原薫・脇村孝平・藤田幸一・田辺明生編『歴史のなかの熱帯生存圏―温帯パラダイムを超えて』(京都:京都大学出版会、2012), 1-28;脇村孝平「人類史における生存基盤と熱帯―湿潤地帯・半乾燥地帯・乾燥亜熱帯」杉原薫・脇村孝平・藤田幸一・田辺明生編『歴史のなかの熱帯生存圏―温帯パラダイムを超えて』(京都:京都大学出版会、2012), 53-78;...

View Article


横溝正史『髑髏検校』とストーカー『ドラキュラ』の精神病患者

『髑髏検校』「髑髏検校」は金田一耕介もので有名な横溝正史が昭和14年に『奇譚』に分載した作品であり、ブラム・ストーカーの『ドラキュラ』(1897)を忠実になぞって、舞台を将軍家斉の江戸に移し替えた吸血鬼ものである。『ドラキュラ』が、中世と伝奇のトランシルヴァニアとヴィクトリア朝の大英帝国のロンドンを結んだゴシックであるように、「髑髏検校」は、九州の不知火の孤島にいる天草四郎の怨霊が爛熟した化政期の江...

View Article

キットラーと精神医療のメディア(媒介)

Winthrop-Young, Geoffrey, Kittler and the Media (Cambridge: Polity Press,...

View Article


アメリカの美容整形と日系移民

Haiken, Elizabeth, Venus Envy: A History of Cosmetic Surgery (Baltimore: The Johns Hopkins University Press,...

View Article

ドイツの精神病実地調査

Dilling, H., and S. Weyer “Prevalence of Mental Disorders in the Small-Town – Rural Region of Traunstein (Upper Bavaria)”, Acta Psychiatr. Scand. 1984: 69;...

View Article

ポルトガルのコレラと幕末・明治日本のコレラ理解

Almeida, Maria Antonia Pires de, “The Portuguese Cholera Morbus Epidemic of 1853-56 as Seen by the Press”, Notes and Records of the Royal Society, (2012)66,...

View Article
Browsing all 455 articles
Browse latest View live