クレッチマーのヒステリー論
Kretschmer, Ernst, クレッチマー『精神医学論集』湯沢千尋訳(東京:みすず書房、1991) クレッチュマー『ヒステリーの心理』吉益修夫訳(東京:みすず書房、1953)...
View Articleアンデルセン『影』
ハンス・クリスティアン・アンデルセン『影』長島要一訳(東京:評論社、2004) 二重人格について基本的なことを知っておく必要があり、『ジキル博士とハイド氏』をはじめとする古典を読もうと思っている。アンデルセンの『影』は、言及されているのはよく目にするが、実際に読むのは初めてである。...
View Articleインフルエンザとその対策の長期変動
逢見憲一・丸井英二「わが国における第二次世界大戦後のインフルエンザによる超過死亡の推定―パンデミックおよび予防接種制度との関連」『日本公衆衛生雑誌』58(2011), 867-878....
View Article佐藤浩章編『大学教員のための授業方法とデザイン
佐藤浩章編『大学教員のための授業方法とデザイン』(東京:玉川大学出版部、2010) 学者・大学の先生向けのビジネス書で、私はビジネス書を読んだときの、虚偽の明るい希望に満ちた感覚が好きだから(お酒を飲んだときの気持ちに似ていませんか?)、この本もとても楽しく読んだ。...
View Article料理と家庭薬のレシピ・ブック
世界の有力な図書館では電子化の作業が進んでおり、ロンドンのウェルカム図書館も、しばらく前からコレクションの電子化に取り組んでいる。活字の書籍だけでなく、手稿類の電子化も進んでいる。その中には、ペルシャの美しい占星術の書物など、美しさを基準にして選ばれたものもあるが、いまのところ、もっともサブスタンシャルな電子化は、いわゆる「レシピ・ブック」の電子化である。レシピ・ブックは、女性を中心として、それぞれ...
View Article戦前日本の精神医療について
これまでの日本の精神医療の歴史記述の枠組みにおいては、ある制度の是非を論ずる視点が前面に出ることが多く、その制度の中の「格差」が問題にされることは少なかった。たとえば、呉秀三『精神病者私宅監置の実況及び其統計的観察』(1918)は、私宅監置のうち、不良のもの、甚不良のものだけでなく、佳良のもの、普通のものもあったことを認めている。それにも関わらず、私宅監置制度全体を「わが国十何万の精神病者は実にこの...
View Article精神病患者は死なない
Andrews, Jonathan, “'Of the Termination of Insanity in Death', by James Cowles Prichard (1835)”, History of Psychiatry 23(2012), 129-136. History of Psychiatry...
View Article精神医学の古典論文の翻訳集成
昨日言及した『現代精神医学の礎』は、時空出版から出た4巻本で、現代精神医学の古典的な論文を集めたものである。これらの論文は、もともとは雑誌『精神医学』の「古典紹介」のコーナーで、翻訳と解説をつけて紹介されたものを、主題別に分類しなおして書籍の形にしたものである。「古典紹介」というコーナーは、1974年に開設され、それから98年まで存在したが、実質的には、80年代の中ごろまでが最も充実していた時期であ...
View Article式場隆三郎と精神病患者の芸術
大内郁「日本における1920~30年代のH.プリンツホルン『精神病者の芸術性』の受容についての一考察」『千葉大学人文社会科学研究』(16), 66-79, 2008-03....
View Article変態心理学講習会
第一回変態心理学講習会記事『変態心理』2(1918-9), 220-222. 大正期の日本においては、精神病への興味が高まり、精神病院を訪問して患者を鑑賞することも行われていた。その一つが、変態心理学講習会が主催した「実習」である。...
View Article『変態心理』よりメモ
諸岡存「ヒステリーと迷信」『変態心理』1(1917-8), 62-63 狐憑き、千里眼、魔術、降神術、こっくりさん、地獄極楽図などは、みなヒステリーの現象であり、一種の催眠状態である。聖母マリアも立派なヒステリー患者であり、人をだまし、人にだまされる。妖僧とか怪僧などに騙される貴族の女性もみなヒステリーであり、これらの病気は、家を滅ぼし国家や社会を破滅させる。「独探」のごとき。...
View Articleウェルカム博物館『脳』
ウェルカム博物館『私たちが脳にしたこと』 ウェルカム博物館の新しい展示 Brains のサイトのイメージ・ギャラリーをゆっくりとみる。いつものように素晴らしく高い水準の展示にため息が出る。 http://www.wellcomecollection.org/whats-on/exhibitions/brains.aspx...
View Articleアジア医学史学会演題募集
第六回・アジア医学史学会・Call for Papers 2012年12月13・14・15日に慶應義塾大学・日吉キャンパスにて、第六回・アジア医学史学会を開催いたします。演題・パネルの募集を行います。学会の公用語は英語となります。みなさま、ふるって英語のアブストラクトをお送りください。主題は、“Medicine, Society and Culture in Asia and...
View Article松原洋子「優生保護法という名の断種法」
松原洋子「日本―戦後の優生保護法という名の断種法」 米本昌平他『優生学と人間社会』(東京:講談社, 2000)に所収された、松原洋子「日本―戦後の優生保護法という名の断種法」を読み直す。...
View Articleハッキング "Making Up People"
Hacking, Ian, “Making Up People”, London Review of Books, vol.28, no.16, 17 August 2006. イアン・ハッキングの「ループ効果」(looping effect) は、人間科学の歴史を研究しているものにとって、とても重要な主題である。私はMad Travelers...
View Article『トップ・ハット』(1935)と反騒音同盟(1933)
飛行機の中の映画の中で「クラシック」という分類があって、その中にチャップリンなどと並んでフレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの『トップ・ハット』(1935)があった。もちろんダンスが中心の白黒のロマンチック・コメディで、デートにぴったりの映画だった。ウッディ・アレンの『カイロの紫のバラ』でも言及されている作品で、昔を懐かしみながら観ていたら、冒頭にちょっと興味が深い場面があった。ロンドンにおけ...
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